日常を観察する

領土問題で起きた摩訶不思議。「どうぞ、どうぞ」の譲り合い。いがみ合う両国がどちらも「いらない」と言っている??

更新日:

国と国が生まれ、隣り合えば、多かれ少なかれ軋轢が生じます。しかし、国同士が隣り合い、領土問題を抱えているというのに、領土を「譲りあっている」という不思議な事態が起こっているというのです。

果たして、その真意は…?????

領土問題発生! 普通は「より多く」を主張するけれど…

「どうぞ、どうぞ」と譲り合う、その土地は…核廃棄物に汚染されている等々…実はとても危険な場所なのでしょうか?

実際にGooglemapで見てみると、こんな場所です(↓)。砂漠のど真ん中です。

この画面中央の黒線で区切られている四角形の領域が、お互いに譲り合っている「空白地」となっている場所です。

砂漠というだけで、特に危険には見えません…。

この四角形の面積は2060km2。大きさとしては、ほぼ東京都(2,194km2)と同じです。

少し画像を引いてみると、こんな図になります。砂漠が続いていることが分かりますね。

画面左中央より、東側に向けて国境を表す国線が伸びていますが、途中から、線が入り組んでいます。この複雑な入り組み方に謎を解くカギがありそうです…。

もったいぶってきましたが、この領土問題を起こしているのは、エジプトとスーダンの2か国です。

下の地図にありますが、上の「オレンジ色」がエジプト、下の「水色」がスーダンの領土です。

画像引用:ビル・タウィー(Wikipedia)

そして、画面中央、内陸部に少しだけ「白色」の空間があります。これが本日の舞台です。(そして、白色の東側には、「緑色」の部分があります)。

「オレンジ色」「水色」「白色」「緑色」

2か国しか存在しないのに、4色…。複雑そうです。

頭の体操に、どうすれば、2か国の領土問題で4色必要になるのか…。考えてみてください。(普通なら、A国、B国、係争地の3色あれば十分なはず…)

……

………

…………

エジプト側の主張

いかがでしょうか、思い浮かんだでしょうか?

さて、では、早速下の図で、見ていきましょう!

図の上がエジプト。下がスーダンです。

横に1走っている「黒線」と「赤いエリア」と「青いエリア」があります。

この図の「赤いエリア」が空白地でエジプトもスーダンも領有権を主張していない土地です。

そして、「青いエリア」がエジプトとスーダンが領有権を争っている箇所です。

なぜそんなことが起こるかというと…。

エジプト側は、上の図の「黒線」を国境として主張しています。

まっすぐの直線です。

そして実際に「黒線」の北側「青いエリア」も実効支配しています。

一方、スーダンの主張

一方のスーダン。下の図を見てください。

太く緑色の線で書きましたが、

実は、スーダンが主張している国境は、太い「緑色の線」の南側になります。

しかし、「黒線」の北側はエジプトが実効支配しているため、東側にある青色のエリアをエジプトと争っています

さて、

  • スーダンが緑色の線の南側を主張し
  • エジプトが黒色の北側を主張し

ています。すると…。どちらにも所属できない場所が現れました。

…そうです。「赤色のエリア」です。

「黒線」と「緑色の線」に囲まれた「赤色のエリア」と「青色のエリア」を比べたとき、エジプト、スーダンの両方とも「青色のエリア」の方に重きを置いています

そのために、

  • エジプトにとっては、赤色のエリアの領有を主張することは、スーダンの主張(緑色の線を国境とする)を認めることにつながり、
  • スーダンにとっては、赤色のエリアの領有を主張することは、エジプトの主張(黒線を国境とする)を認めることにつながり、

どちらも赤色のエリアを主張せずに/できずにいるのです。

歴史的経緯について

なぜ、「黒線」や「緑色の線」を国境とする主張が生まれたかについては、以下のサイトに詳しいです。

ハラーイブ・トライアングル(Wikipedia) (東側の大きな「青色エリア」について)

ビル・タウィール(Wikipedia) (西側の小さな「赤エリア」について)

興味のある方はぜひ調べてみてください。

国家建国の夢!

両国家間の間に位置しながら、どちらも領有を主張できない領域…そのような土地があるのなら、と目をつける人が当然できてきます。

最近では、2014年にアメリカ人のジェレマイア・ヒートンがこの赤色のエリアに"北スーダン王国"の建国を宣言するという出来事がありました。

このヒートン、実は、娘の「プリンセスになりたい!」という夢をかなえるために世界中から未確定の土地を探し求め、建国を宣言したとのこと(プリンセス夢見る娘のため、米男性がアフリカで「王国樹立」(AFP BB NEWS))。

国を建国しプレゼント!…とても夢のある話ですが、残念ながら、領有宣言を承認する国家は存在していないとのことです^^。

↓は、北スーダン王国の「国旗」です。プリンセスになりたい、という娘さんの想いを反映したデザインになっているのではないでしょうか。

画像引用:娘のために本気で“王国樹立”

局地的には不思議でも、俯瞰すれば納得

始めは、どちらも領有を主張しない土地(赤色のエリア)がある、という矛盾を感じるような局所的な現象(?)を例に挙げました。

でも、少し地図を俯瞰してみると、隣により魅力的な土地の存在(青色のエリア)が浮かび上がり矛盾が解消しました。

私たちの日常もこれに似ているのかもしれません。いつも虫眼鏡をあてて、重箱の隅をつつくような生活をしていると、理解しがたいことに満ち溢れて見える…けれど、一歩引いてみれば、納得できるし、ちょと面白い話にも見えてくる…。

そんなことってあると思いませんか^^?

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