通訳者や翻訳家の方ってかっこいいなぁ…。そんな風に思っていました。ニュースでの同時通訳などやっている場面を見ると、一体頭の中はどうなっているのか?? と不思議になります。
そんな話を、以前同僚としていたのですが…
【同僚】 …(苦笑)いやいやいや、…お前、通訳じゃん?
【私】 ん?? ……あ、そうだった!
そうだ、今、通訳としてここにいるんだった(驚愕)!
そんなコントのようなことがありました。
お世辞にも得意とは言えない英語レベル
さて、プロフィールにも書きましたが、私は英語が苦手です。
学生の時、TOEICを受験しました。
360点でした。確か。しかもTOEICが英語の試験だと知らずに受験していました。阿呆ですね…。
360点というと、通訳、というには、程遠いレベルです。受験者の平均点が580点前後ということを考えても…。はい。そういうレベルです(苦笑)。
英語のその他の資格としては、中学3年の時にとった英検3級。
英語はずっと苦手で、高校入学最初の英語のテストでクラス最低点(100点満点で14点)を取っていました。
(そのテストで覚えた単語があります。bookには、本以外にも、予約するという意味がある! …人間は失敗の記憶はずっと覚えているようです…)
その他にも、中学2年の英語のテストで、「ありがとう」を英訳せよ、という問題があり、
Think you
と書きました。当然間違いだったのですが、本人は「サンキュー」と書いた気マンマン! なぜ間違いになっているのか分からない…。
私の英語レベルは…そんなものです(泣)。
なぜ? 英語が苦手な私が通訳に……
さて、気を取り直して…問題です。なぜ、私はこんなにも英語が苦手(少なくとも得意ではない)なのに、通訳としてお金がもらえるようになったのでしょうか!?
今日は、そのなぜ? というのを書いてみたいと思います。
さて、早速ですが、答えを書きます。答えは…(怒らないでくださいね…)
英語の通訳じゃなかったから!
英語の通訳になりたい人、…ごめんなさい!
そうなんです。私は英語と日本語の通訳じゃないんです。
私は実は、ベトナム語と日本語の通訳をしています。
学生時代2年ほど東南アジアを放浪していたことがあり、そのうち1年半はベトナムにいました。
(最近知ったのですが、フリーアナウンサーの夏目三久さんは、大学でベトナム語を専攻されていたとのこと。一度ベトナム語で話してみたいものです^^)
さて、そうすると、なぜ通訳になれたのか、が見えてきます。
それは…
需要と供給のバランスで、私レベル(1年半ほどの現地でのサバイバルによる言語勉強)でもOKだった、ということです。
確かに、日本人でベトナム語を話せる人って、英語に比べたら、少ないですよね…。もちろんベトナムの方で日本語に堪能な方もたくさんいて通訳をされていますが、場合によっては「日本人にお願いしたい」という要望もあり、声がかかったりするのです。
とは言っても、1年半の勉強で大丈夫?
ただし、ベトナム語を現地で勉強したのは、たった1年半。1年半です。中学高校で英語を6年勉強したのにひとっつも話せないのに、1年半。もちろんベトナム語は完璧じゃありません。それでも大丈夫なのでしょうか?
実は、私はベトナム人と日本人のダブル(ハーフ)なのです!…というわけでもありません。
私の両親はどちらも日本人ですし、幼少期からベトナム語に触れていたわけでもなく、最初にベトナム語を聞いたのも勉強したのも大学に入ってからです。
もちろん、私のベトナム語は完璧には程遠いものです。それはもう…。はい。単語の知識も日々増えているとはいえ、十分とは言えませんし、知っていたとしても通訳でとっさに出てこない事なんてたくさんあります。
先日も、「水虫で困ったことありませんか?」と訳す瞬間に困りました。ベトナム語で水虫、という単語が分からない…。(ちなみにベトナム語では"bệnh nấm da(ベイン・ナム・ザ"と書くそうです)
でも、そんなときは、
【私】 こんな症状はありますか? ごめんなさい、その病気の名前がベトナム語で何というのか知らないのですが…、例えば、足の指の間がかゆくなったりする病気で、人にも感染するんです。
【ベトナム人】 …ああ、それは"水虫"ですね!
もちろん通訳としては、一発で単語を言えるのが望ましいのでしょうが…、私レベルではそうもいきません。
なので、(今は……)知らない単語は、説明して分かってもらえればいい、という態度で臨んでいます(が、しかし、いつかは…)。なので、その都度依頼主になる方には、正直に自分のベトナム語のレベルをお伝えしています。
それでも構わない、と言っていただける場合にだけ、通訳をやらせてもらっています。
なので、まとめると、
英語力が低くても通訳にはなれた。 → (…そもそも英語じゃないし、ベトナム語は需要と供給のバランスが悪く(需要の方が圧倒的に多い)、そんなに高い通訳レベルを持っていなくても、必要とされた)
です。
そして、もっと言うと、1年半の勉強も必要ありません。知らない単語に出会ったときに、それをある程度説明することができればOK、という状態を目指す場合は、勉強を始めて半年である程度達成可能でした。
とはいっても、その状態になるのが難しいんだよ! 中学、高校でさんざん英語をやったけど、まったく使えるようにならないじゃん! (はい、それは私も一緒でした…)
なので、次は、どのように勉強してある程度まで半年でベトナム語の力を上げたのか、についても触れたいと思います。(同僚より、俺たちが聞きたがっているのはそこだから! 早く書け! とプレッシャーを掛けられています^^)
通訳、というとすぐに「英語の」という風に考えてしまいがちですが、いろいろな言語があるわけでから、通訳の種類もたくさん存在し得るわけですね。
そして、今後ベトナム語が日本で義務教育になれば別でしょうが(笑)、きっとそんなことは来ないとでしょう。国策によっても、必要となる言語の種類は変わっていくとは思いますが(今、ベトナム語の需要が高まっているのも「技能実習制度」が大きな要因)、今後も、お役に立てる機会があれば、通訳としても活動していきたいと思っています。
ベトナム語の「通訳者」になった経験から引き出した教訓
さて、この例から私が感じている教訓があります。
それは、
十分な実力があれば、仕事として成立するか、というとそういう訳でもない、ということです。
私のベトナム語レベルは、もし英語だったとすると、はっきり言って通訳としては通用しないレベルです。
でも、場所が変われば(英語→ベトナム語)、必要なレベル(同時通訳レベル→ぎこちない日常会話レベル)も変わり、お金が発生するレベルになり得る、のです。
なので、私は○○ができないから…。と思っている人も、単純に場所が変われば、対象となる人が変われば、需要と供給の関係で十分通用する! ということもあるかもしれません。
自分で自分の可能性を閉ざしてしまうのは、もしかすると、早すぎるのかもしれませんね。
わたしも、Think youと書いてしまうぐらいの英語力(とセンス)の状態から、通訳(英語ではなけれど…)として活動できたのですから。