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情報に触れるときに発生する「生存バイアス」の罠から逃れるためには?

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判断するときに注意が必要な、生存バイアスとは?

テレビを見ると、毎日芸能人・有名人が軽妙なトークを繰り広げています。そんな華やかなバラエティを見ていると忘れてしまうことがあります。

それは、テレビに出ようと頑張っても、運悪く(実力が足りず)、掴み取れなかった人たちのことです。

それは、もちろん芸能界だけではありません。

  • プロ野球
  • 宝塚歌劇団
  • 俳優
  • 漫画家
  • 画家
  • 歌手
  • 医者
  • 弁護士
  • 名門大学生 ……などなど多数

何らかの「選抜」が行われるところでは、多かれ少なかれ、存在してしまいます(なりたい人はたくさん、でも、なれる人は少数……という状況ですね)。

ただ、その夢に破れた人たちたちにスポットライトがあてられ、当事者の声を聴くことができる機会は、限られています。「成功者」の声はすぐに聞こえてくるものですが…^^

さて、「成功者」だけの声を聞くことの危険性を表した言葉に「生存バイアス」という言葉があります。

生存者バイアス(せいぞんしゃバイアス、英語: survivorship bias、survival bias)または生存バイアス(せいぞんバイアス)とは、何らかの選択過程を通過できた人・物・事にのみを基準として判断を行い、通過できなかった人・物・事は見えなくなるため、それを見逃してしまうという誤謬である。

生存者バイアス(Wikipedia)

「簡単に言えば、生き残った人たちだけを対象に判断すると、間違うよ」ということですね。

↑に挙げた、様々な職業の人たちの場合も、なれなかった人たちの状況は見えづらくなるわけです。

結果が反対になってしまう!?

バイアスとして、様々な例が見つかりますが、例えとして面白いのは、第二次世界大戦の爆撃機の防御に関する逸話です。

第二次世界大戦中、統計学者エイブラハム・ウォールドは、敵の射撃による爆撃機の損失を最小限に抑える方法を検討する際に、生存者バイアスを考慮した。

海軍分析センターの研究者は、任務から戻った航空機が受けた損傷の研究を行い、最も損傷が多かった部位に装甲を施すよう推奨した

ウォールドはこれに対し、分析センターによる研究は任務から「生還した」航空機しか考慮していない、撃墜された爆撃機が損害評価に入っていないと述べた。ウォールドは海軍に対し、帰還した航空機が損傷を受けていない部位を補強することを提案した。

それは、帰還した航空機に空いた穴は、爆撃機が損傷を受けても安全に帰還できる場所を表しているからである。

Survivorship-bias.png (1427×1063)

銃弾を受けた部位を赤で示している(※注意※ ↑の画像は説明用の架空のデータ)。

生存者バイアス(Wikipedia)

図として出されているように、帰還機の中には、銃撃を受けている部分と受けていない部分があります。

「よし、では銃撃を受けている部分を補強しよう」

もしそうしてしまうと……。この場合、生還率を上げるという目的から考えると疑問符が付いてしまいます。正しくは、むしろ……

「銃撃を受けていないところは、銃撃を受けると致命的な部分。よし銃撃を受けていない部分を補強しよう」

このように、生存バイアスを元に考えると、結果が逆になってしまったというのです。

○○の人に会ったことがない

その他に、例えば、↓の画像は、文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」のチラシです。

「留学したことを後悔している人に会ったことがない」

ハッと目に留まる面白いキャッチコピーだなぁ、と初めて見たときは思いました。

もちろん、キャッチコピーとして書かれているので、言葉の通りに受け取ることはできませんし、私の友人も、過去に留学して後悔している人は何人もいました(笑)。

もし、これを書いた人が本当に「留学したことを後悔している人に会ったことがない」のであれば、それは、

  • 留学に成功(後悔していない)人には会ったが、失敗(後悔した)人にはまだ、会っていない。

ということになります。

目の前に見えるものだけを対象にすると、間違ってしまう。このことは、覚えておいて損はない考え方だと思います。

では、死亡バイアスがかかる状況とは?

さて、では、反対のバイアスがかかる場合はどうでしょうか?

言うならば、

生存バイアス ⇔ 死亡バイアス

です。

生き延びた人(成功した人)を元に判断を下すと、間違いが起こりえます。

それと同じように、生き延びられなかった人(失敗した人)を元に判断すると、こちらも間違いが起こりえます。

例えば、↓のような言い方はどうでしょう?

  • ○○なんて、簡単だよ(生存バイアス)
  • いや、○○は難しいよ(死亡バイアス)

○○に入れるものは、大学受験でもいいですし、ネットビジネスでもいいですし、難関国家資格でもいいです。

「○○はやればできるよ。俺にもできたんだし。簡単、簡単」

「○○なんて、無理無理。成功できるの何てホンの一握りの人間だけさ」

という風に、どちらの言い方もありそうですよね?

こういう言い方に出会ったとき、私たちは、どちらの意見に耳を傾けがちでしょうか?

これから何か新しい行動を起こそうとしているときを想像してみてください。

もし、「生存バイアス」か「死亡バイアス」、どちらかを重視してしまいがちなら、それが原因で判断を間違えているかもしれません。

  • 「生存バイアス」に踊らされ、うかつで大胆に行動して痛い目を見るかもしれません。
  • 「死亡バイアス」に悲観し、行動する前に諦めてチャンスを逃しているかもしれません。

では、どうすればいいでしょうか? まずは、

  1. 情報を収集するときは、生存バイアス側、死亡バイアス側、それぞれの意見を集める
  2. そのうえで、大胆に(生存バイアス側)行動することと、諦める(死亡バイアス側)のちょうど中間、最初の一歩だけを踏み出してみる

から初めてみるのはどうでしょうか?

「生存バイアス」も「死亡バイアス」も、極度に恐れる必要はありません。歴史学者の磯田道史先生の言葉を借りれば、「人にも自分にも、このことだけは確信をもって静かにいえる。恐れず、まっとうなことをすれば、よいのである……」なのです。

★今日の試してみたいことメモ★

  1. 自分が「生存バイアス」と「死亡バイアス」のどちらを重視しがちか、考えてみる。
  2. 軽視していたほうの「○○バイアス」の情報を"あえて"集めてみる。
  3. そのうえで、大胆に(生存バイアス側)行動することと、諦める(死亡バイアス側)のちょうど中間、最初の一歩だけを踏み出してみる

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