パレートの法則が教えてくれる「無駄の多さ」
パレートの法則、またの名を80:20の法則と呼ばれたりする”法則”があります。名前はともあれ、どこかで耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか?
パレートの法則(パレートのほうそく)は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという理論。80:20の法則、ばらつきの法則とも呼ばれる。
一言で言えば、
「重要だと思っているもののうち、本当に必要なものは、極々、一部」
の法則、と言えるでしょう。
経済学者のパレートは、この法則(経験則)を経済において、あてはめました。
例えば「世界中の富の大部分は、少数の人間に握られている」というような例も、この法則を説明をするときに使われたりしますね。
が、しかし、もしこれが、経済以外のものにも当てはまるとするなら……、どうなるでしょうか?
ちょっとした思考実験です(笑)。しばしお付き合いください…。
例えば、経済以外の点で、↓のような状況はどうでしょうか?
・ 充実感を感じる「時間」
・ 知り合いの中でも、本当に大切な「親友」
・ 自分の仕事の中で、生産性を上げている「仕事内容」
・ 生活に本当に必要な「必需品」
・ 健康維持のために役立っている「習慣」……などなど。
モノ、観念、人間関係、時間、労力、お金…なんでも構いません。
自分が求めている「なにがしか」の8割は、自分が注いでいる「労力」の2割から生み出されているのとするのなら…。
考えようによっては
「今までの生活の大部分が無駄な作業で潰れていた??」
と恐ろしくなります…。
しかし、少し考えを変えてみると
「ということは、改善できることが、山のようにある。そして、改善に成功することができれば、想像もできないような、圧倒的な成果が出せるのでは?」
と前向きに(楽観的に?)捉えることができる…かもしれません。
さらに恐ろしいことに、パレートの法則に"もう一度"パレートの法則を掛け合わせると…
そして、さらに恐ろしいことに……。
パレートの法則は「2割の労力が8割の結果を占めている」の法則ですが、もう一度掛け合わせてみるとどうなるでしょうか。
「パレートの法則」×「パレートの法則」です。
つまり、
2割の労力のさらに2割、つまり0.2×0.2=0.04(4パーセント)
が、
8割の結果のさらに8割、つまり0.8×0.8=0.64(64パーセント)
を占めている。
という計算結果になります。
80:20の法則 から
4:64の法則
が導かれてしまうのです。
図解にすると、↓のようになります。
全体の20パーセント(黄色)と80パーセント(赤)
もちろんこれだけでも、圧倒的な差となっていますが…。これに再度0.2と0.8をかけていきます。
全体の20パーセントのうちのさらに20パーセントが、全体の80パーセントのうちのさらに80パーセントを生み出しているとすると…。
それが↓の図です。
全体の4パーセント(黄色)と64パーセント(赤色)
先ほどに比べて、さらに極端な図、となりました。
※ちなみに、20→4、と80→64の変化量はどちら「マイナス16」。なので、黄色と赤色のボーダーを結んだ斜めの線の「傾き・長さ」は変わっていません。
ちょっとした「思考実験」ですが、日常を変えてしまう威力をもっている…かも?
さて、今回はパレートの法則をもとに「思考実験」もとい「お遊び」をしてみました。
もちろんこれは、ちょっとした思考の「お遊び」ですし、法則というよりは、「経験則」(ちょっとしたことがかなり重要 or ほとんどの作業はムダ)、に近いものと言えるかと思います。
ただし、そうではあっても、パレートの法則をもう一度掛け合わせた、4:64の法則からは、
「たった5パーセントが、3分の2を生み出している"かもしれない"」
という可能性が示されました。
「そんなバカな!」と笑うのは簡単ですが、「もしかすると、その可能性があるのでは?」と一度立ち止まって考えてみることこそ、この「お遊び」の最大の効果です。
こんな風に考えてみると、ちょっと、いつもの日常の見え方が変わってはきませんか?
自分が目指す「目的」に対して、本当に必要なものは、実は思っているよりも、更に少なく、極々一部がとても大切なのだとしたら……?
私たちは、いつものルーティーンを変えることで、普段とまったく違った成果を上げることができるようになるのかもしれません。
(ただし、どうやってその大切な5パーセントを見つけるかが、また別問題ですが…(苦笑)。ハインリッヒの法則のように、一見重要ではないものを潰していくことが問題解決のキモ、になった事例もあるので…)
★今日の試してみたいことメモ★
- 自分が「求めているもの」を何か一つ決める(モノでも時間でも充実感でも…なんでもOK)
- 電卓で、0.8×0.8を計算する。
- 電卓で、0.2×0.2を計算する。
- もし、20パーセントが80パーセントの成果を上げているとするならば…それどころか「たった5パーセントの労力が、全体の3分の2」の成果を生み出しているとするならば…と考えてみる。
- そのうえで、もし「今日」自分に変化を起こすとするなら「何」を「どう」変えるか、問いかけてみる。
- (自分の人生&生活の「5パーセント」に思いを馳せてみる)