仕事に、学校、ちょっとしたメモ…などなど、文房具を使う機会は意外に多いものです。その中でも、メモ帳/ノートとペンというのは、まさしく文房具の「王様」ではないでしょうか?
当たり前に使われているからこそ、発想の新しさ、に出会ったときは、感動すら覚えます!
これは面白い! そんなアイデアノートの紹介です。
オモシロ文房具、灰色ノート??
さて、ノートの常識は・・・?
3秒ほど時間を使って、「ノート」がどんなものか思い返してみてください。
…思い浮かびましたね。そして、たぶん私が思い浮かべたものとほとんど同じ形をしていると思います(笑)。
それくらい、ノート、と言えば「あの形」を思い浮かべますし、表紙はバラバラですが、中身のページは「あの色」を思い浮かべますよね?
もちろん奇抜にしようとすればいくらでも、出来るでしょうか、それでは「ノート」として求められる機能が果たせなくなってしまいます。
しかも、思い浮かべた「あの形」で「あの色」がずっと何十年も変わっていないということは、基本的な性能はすでに満たされている、ということです。
これは難易度が高いですよね。完成された基本的な機能性を損なうことなく、どのような新しいアイデアを世に問うたのか…??
この難問の答えは、なんと、
ノートのページを灰色にする。
でした。
世に問うた新しいアイデアとその狙い
紙を灰色にするだけですから、作る技術だけなら、とうの昔からあります。
しかも、ページは「白」でうまく機能していたところに、わざわざ、あえての
- ページは灰色。
- ペンは「黒」。
- そして「白」。
です。
この狙いはなんだったのでしょうか?
開発者である大手文具メーカー・コクヨ株式会社が目指したものは、↓でした。
紙の色に対して暗い色の文字と明るい色の文字は同時に読みにくいという視覚の性質を利用します。
黒い文字を読みながら白い文字へ目を移す時、視覚のスイッチを切り替える必要があり、それぞれの色の文字を個別に集中して読むことができます。
大切な部分を際立たせたり、周辺情報を十分に記せたり、光と影を描けたり、視覚が持つ境界を利用することでノートの新しい使い心地が生まれます。
↑のような狙いがあったわけです。
背景を白、文字は黒、を基本として使用されるノートとは、一味違った使い方と面白さを発見できそうです。
この「白と黒で書くノート」(中田邦彦氏の作品)は、コクヨのデザインコンペティション「コクヨデザインアワード2018」で優秀賞を受賞しすでに製品化されています。
↓の動画(1:32秒)は実際の使い方や効果を説明したものですが、解説を見ているだけで、使ってみたくてワクワクしてきます!
実は、このノートのアイデアに商品として、↓のようにページの白と文字の黒を逆転させた「ノート」はすでにありました。
白いペンで書くことができる黒い紙のノートはすでに愛用されている方も多いですが、白いペンと黒いペンどちらも使えるというアイデアはとても新鮮に感じていただけたようです。
同上記事
今回は、それを白と黒の両方で書き込めるようにする、というアイデアでノート界に新しい風を吹き込みました。
嬉しい誤算? お客さんが感じたメリット
動画には、このノートを使用することのメリットとして、上で触れた「新しいノートの使い心地」のほかに、色覚異常がある方にも、ノートと文字の明暗の差が文字色の区別に役立つとされていますが、そのほかにも実際に使ってみた人からは↓のような意見が来ています。
「白いノートに黒で書くと目がチカチカするのでとても良い」
同上記事
私はノートで目が疲れる、チカチカするという経験はないのですが、確かにコントラストがきついと「う…」となる時があります。
- 真っ白の光沢紙に黒文字がびっしりと印刷されたパンフレット
- パソコンの画面がギラギラ……などなど
コントラストとは、明るさと暗さの差です。
コントラスト(=差)が大き過ぎると、物がはっきりと見えるものの、 輝度(明るさ)が高くなり、目が非常に疲れます。 反対に、コントラスト(=差)が小さすぎると文字ぼやけるため見づらく、目を細めてしまうため、 これも眼精疲労の原因となります。
色覚異常については動画でも触れられていましたが、このノートの発案時に、コントラストの差による目の疲れの軽減まで想定されていたかどうかは分かりません。
しかし、開発者の意図を超えたところで重宝がられるというのは”開発者冥利の素晴らしい体験”ですね。
色のコントラスト、というアイデアを考えてみると、白と黒が使われている「世界」はいろいろなところにあります。例えば、白と黒を使った頭脳の格闘技…そう、囲碁(…オセロもそうですね)。
日本のアガサ・クリスティと呼ばれた作家・夏樹静子氏は、大の囲碁好きとして知られています。ただし、目の疲れにより、大好きな囲碁をしようにも、ドクターストップがかかってしまう状態になってしまったとのこと…。
しかし、囲碁がやりたい…そこで…、白と黒以外の碁石を考案しました。
私はまだほんの初心者ですが、碁を心から愛するものでございます。ところが最近、目の疲れや痛みを覚え、碁が楽しめなくなってしまいました。
眼科医のお話では、碁石や楽譜など白黒のコントラストの強いものを長く見ていると、とくに目が疲れやすく、反対に緑は目を休めてくれるそうです。
(下は、新しく発売された、緑の碁石です。)
(↓こちらが通常の碁石)
このように、囲碁の世界でも、碁石といえば、白と黒、という常識を一歩ずらした「発明」があったのですね。実際に使用した方からも、「目が疲れなくなった」という嬉しいコメントが届いています。
(私は、まだ白と黒の碁石で問題なく打てていますが、もし目が疲れるようなことがあれば、ぜひ試してみたいです)
「灰色ノート」のデメリットは
さて、話を戻し、この「新しい灰色ノート」ですが、デメリットはないのでしょうか?
開発者の話によると、今まで通り、カラーペンでの書き込みも可能、とのことです。ただ、その場合は、背景が灰色ということもあり、発色が少し悪くなってしまうとのこと。また、コントラストを利用した視点切替の作用も働かなくなってしまうとのこと。
色をたくさん使って、カラフルにまとめたいという場合には、従来の「白ノート」に分がありそうです。
後は、お値段でしょうか…(苦笑)。オンラインショップでは、
50枚100ページで1冊990円(税込)
となっています。普通のノートに比べれば、割高、ではありますが、使用用途がハマれば、決して高い値段ではないですね。
購入はこちらで!
この新しい「灰色ノート」はオンラインショップ(↓)にて販売されています。
実際に手にしてみないまでも、このような「新しいアイデア」に触れると、自分の頭が活性化してワクワクしてきます。
「完成された」と思われているモノや技術でも、(コストはかかったとしても)まだまだアッと驚くようなアイデアというものは、出せるものなのかもしれません。
そのように感じられると、ちょっと勇気が湧いてきませんか?
★今日の試してみたいことメモ★
1.「白と黒で書くノート」の紹介動画を見てみる。
2. 日々を過ごしていると、当然、という風に思えてしまうものや、これ以上改善できない(これが最高)と思えるようなモノ・技術でも、やり方次第で改善できる(かも)という可能性を考えてみる。
3. 私たちの身の周りに、このような例が転がっていないかどうか、探してみる。