成果が出ない…なぜ??
私たちの1日の時間は等しく平等・24時間です。
その中で、私たちは、成果を出そうと頑張っています。学校の勉強、会社での業績、趣味の大会への参加…。
いつも不思議に思うのは、同じように頑張っている二人でも、片方はどんどん上達していくのにもかかわらず、もう片方は、真面目に取り組んでいるように見えるのに、なかなか上手くならない。
それはなぜだろう?
ということです。
才能? センス? 努力の仕方? コーチの差?
いったいなんなのでしょうか?
私たちの、成果の出し方の"クセ"
私たちは、小学校からずっと学校で「勉強を頑張りなさい」「テストでいい点を取りなさい」とハッパをかけられてきました。(私の場合は、大学で成績を下げろ、と「叱られる」わけですが(苦笑))。
そして、社会に出てからは、「業績を上げろ」に替わって、引き続き、より高いものを目指すように求められていますよね。
「勉強を頑張れ」「テストでいい点を取りなさい」と言われたとき、どのようにしましたか?
私の場合は、
とにかくやる。
でした。
- 悪い点数を取ると親に怒られる、先生に怒られる…
- 良い点数を取れば親に褒められる、先生に褒められる!
まさにアメとムチ。です。
当たり前のようにこのアメとムチを使って生活してきましたが、どうでしょう?
これで成果は上がりましたか?
ムチの恐怖に怯えながら取り組む…「楽しい」経験でしたか?
私は、成果も上がらず、決して楽しい経験ではありませんでした。
アメとムチじゃない、もう一つの成果の上げ方
アメとムチ以外の方法で、成果を上げることはできないのでしょうか?
もし、そんな方法があるのなら、もっと生活は楽しくなると思うのです!
…するとありました。↓のような方法です。
TEDのやる気に関する驚きの科学(TED/ダニエル・ピンク)というプレゼンテーションです
このプレゼンで説明されていることを要約すると、
成果を上げるには2つの方法がある、ということです。
内発的動機づけを利用する
1、外発的動機づけは、外側から、つまりいわゆる「アメとムチ」です。
良いことをすれば褒められて、悪いことをすれば罰せられる、といういつものやつですね。
「学校」から「会社」まであらゆるところで使われていますが(笑)、これには、上手くいく場合といかない場合があることが分かってきました。
「上手くいく」のは単純作業。単純なルールと明確な一つの答えがある場合には、「アメとムチ」を与えれば与えるほど成果があがりました。
それはそうですよね! いっぱい「お金」もらえるのであれば、頑張れます(笑)!
さて、問題はここからです。作業に「思考力」や「創造力」が試される場合は、「アメとムチ」を与えれば与えるほど成果が下がってしまったのです!
驚きの結果です! いっぱい「お金」がもらえる! だけでは成果が下がってしまうことがあるのです。
そして、生活を振り返って気づくのですが、世の中で私たちが取り組む問題は、「思考力」や「創造力」が使わないもののほうが少ないのです(圧倒的に!)。
もう一つのアプローチ、内発的動機づけ
困りました…。
「アメとムチ」を使えば使うほど成果が上がらなくなってしまうのであるならば、どうすれば「成果」を上げられるのでしょうか?
ヒントは、アメとムチ(=外発的動機づけ)ではないもう一つのアプローチ、内発的動機づけ、にあります。
自主性
成長
目的
の3つを使ったアプローチです。
それぞれに、
自主性…自分の人生の咆哮は自分で決めたいという欲求
成長…何か大切なことについて上達したいという欲求
目的…私たち自身よりも大きな何かのために行動したいという欲求
です。それぞれに、自分の内側にある、興味、関心、想いなどを重視して行動し成果を上げていくアプローチです。
……とても理想的に思えます。
そう、「ちゃんと機能するのであれば!」 です。
会社でこのようなマネージメントがうまくいくのでしょうか?
「そりゃ、これで成果がでるのなら理想だけど、部下がだらけてしまってまともに機能しないだろう!?」
そんな声が聞こえてくるようです。
確かに、アメとムチに慣れた私たちの思考からだと、信じられない方法ですよね。
けれども、↓のような二つのプロジェクトを見ていくと、少し考えが変わるかもしれません。
1990年代半ばMicrosoftはEncartaという百科事典を作り始めました。適切なインセンティブを設定しました。何千というプロにお金を払って記事を書いてもらいました。たっぷり報酬をもらっているマネージャが全体を監督し、予算と納期の中で出来上がるようにしました。何年か後に別な百科事典が開始されました。別なモデルを採っていました。
楽しみでやる。1セント、1ユーロ、1円たりとも支払われません。
みんな好きだからやるのです。
ほんの10年前に経済学者のところへ行ってこう聞いたとします。「ねえ 百科事典を作る2つのモデルを考えたんだけど対決したらどっちが勝つと思います?」。10年前、この地球上のまともな経済学者で、Wikipediaのモデルが勝つという人は1人もいなかったでしょう。
Encartaは2012年にサポートが終了しましたが、Wikipediaは…言うまでもないですね。
私たちの世界には、インターネットがあります。情報はいくらでも調べて吸収できるようになりました。私たちは、どんな仕事をするにしても、どんな人たちと付き合うにしても、昔に比べ断然自由に選べる時代に生きています。
「理想論」と思われたマネージメント(=内発的動機づけ)に基づいて仕事をし、生活をし、成果を上げる時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。
アメとムチから脱却できるものとして、私たちの周りには、どんなものがあるでしょうか?
★今日の試してみたいことメモ★
- TEDでやる気に関する驚きの科学(ダニエル・ピンク)を見る
- 自分にとって"アメとムチ"方式ではパフォーマンスが上がらなかったものは何か想像してみる。
- 今度は、自分にとって「重要だからやる」ことは? 「好きだからやる」ことは? 「面白いからやる」ことは? 何なのか想像してみる。
- これら二つでは、同じように取り組んだ場合でも、どのくらい成果に差がでるか想像してみる。
- もし差があるとするならば、これら二つを1年、3年、5年、10年続けた場合、どのぐらいの圧倒的差が生まれるか想像してみる。