囲碁の最年長棋士
日本のボードゲーム、しかもプロ! というと、将棋と囲碁が真っ先に思い浮かびます。
将棋で言えば、高校生2冠の藤井聡太2冠が話題をさらっていますし、囲碁界でも最年少プロとして仲邑菫(なかむら・すみれ)初段が注目を集めています。
若い。
それだけでも注目も的なのに、しかも強い!
見ているだけでこちらがワクワクさせられます。
最年少があれば、当然最年長も…。
将棋で言えば"ひふみん"の愛称で親しまれる加藤一二三九段がバラエティでも活躍されています。
さて、囲碁は、というと…。
日本の現役最年長棋士が杉内寿子(すぎうち・かずこ)八段です。
この杉内八段、1927年生まれの93歳(2020年10月26日現在)で、しかも現役棋士なのです。
注目の棋譜
そして、2019年には、囲碁の3大リーグすべてに所属の経験のある溝上知親九段との50歳差の対局に勝利し、話題となりました(溝上九段は1977年の生まれ)。
その時の棋譜が↓です。
[棋譜]2019年1月10日 溝上知親 vs. 杉内寿子 第44期棋聖戦
結果は白番・杉内八段の中押し勝ち(最後まで打たずに溝上九段が投了)。
内容も杉内八段の完勝だったようです。後日、溝上九段が著書のコラムで次のように語っておられます。
全体的に完敗の内容だったのですが、どこかチャンスがなかったのか調べようとしたら、中国の囲碁のサイトAIが解説してくれていました。
恐る恐るそれを見てみたら、案の定というか、一場面もよい局面がなかったのですが、それが一手目から終局までだったことに衝撃を受けました。
p82 『難しい手は一無用! 戦わないで勝つ囲碁』 溝上知親著
注目の棋譜を一部取り上げてみると見てみると…。
黒番・溝上九段 白番・杉内八段
黒番の溝上九段が45と左下の白の分断を睨む手を打ちました。放っておくと白の5子(26, 28, 30, 2, 38)の連絡が断たれてしまいそうです。
白番の杉内八段、分断されてはマズイと守る一手かと思えば…。
「やってこい」と言わんばかりの46!
溝上九段、すかさず47!
白を上下に分断しました。果たして白はどうシノグのでしょうか? (私なら分断が怖くて、ノータイムで守ってしまいます…)
何とも恐ろしい碁です(笑)。私は白のシノギと逆襲の美しさに思わず何度も棋譜を並べ、いつの間にか暗記してしまいました(笑)。
いつか、このように打ちまわしてみたいものです^^
杉内八段と溝上九段の素晴らしい対局を、ぜひ鑑賞してみてはいかがでしょうか。